Get your kicks on Route6

photo by Don Harder

6月に福島に住むイトコとIngress というゲーム 1のイベントに参加してきた。
仙台で開催されるPersepolisと、その翌日に東北各県で行われるMissionDayというイベントだ。
MissionDayは福島のいわき市のイベントに参加することにした。

そのときの、主に国道6号を通ったときのレポートみたいなものを。
文字ばっかりで読みにくいです。なんとなく写真撮る気分じゃなかったので。

国道6号

福島市内のイトコの家から車でいわきへ向かう……前に相馬へ向かい、そこから国道6号を南下していわきまで行くことにした。
国道6号は東京電力福島第一原発事故の帰還困難区域(事故発生当初は警戒区域)を通過する。2014年の秋から一般の車両での通行が可能になった。 2

相馬からいわきへ行くだけなら常磐道もあるのだが、一度このあたりを見ておきたいと思っていた。

測定マップで放射線量を見ると、道路沿いなら高くても6μSv/h程度。場所によっては16μSv/hとかもあるけど、車で通過するだけなら問題ない量だ。仮に徒歩でも気にする量じゃないけど。

当日のルートはこんな感じ。

福島市から1時間ほどかけて相馬へ。
国道6号に入り南下していると、南相馬の道の駅があったので寄り道。駅の後ろには広々とした公園があって、子供や親子連れでにぎわっている。

公園内のポータルをハック 3していると、一角に水遊び用の池があった。デング熱対策か、水は入ってなかったが。
看板には「この池は寄付で作られた」とある。そういえば、相馬に子供が遊べる池を作ろうってクラウドファンディングを見かけた記憶がある。これのことか。

道の駅で買ったおやつをかじりつつ南へ。

帰還困難区域

相馬あたりでは普通だった交通量も、帰還困難区域に近づくにつれて少なくなり、区域に入ってからはパトロールのために往復しているパトカーに先導されるような状態になった。

曲がり角はほぼ全部バリケードでふさがれて、警備の人が立っている。一般車は国道6号から出ることはできない。

警備してる警官は普通の制服でマスクもしてないので、このあたりの放射線量は住み続けるには高いが、仕事で野外にいる程度では問題ない量と思われる。東京電力福島第一原発敷地内でも、防護服・全面マスクなしで過ごせる場所も増えているぐらいだし。

区域内は駐停車が禁じられている。
車から降りて周囲の様子を見たいと思ったけど、それを許可してしまうと色々面倒なことが多くなりそうなので、この措置はしょうがないんだと思う。 4

道路沿いのレストランは、テーブルに調味料やメニューが置かれたままなのが見えた。中古車の販売店は、売り物の車がたくさん放置されている。
コンビニは窓に板が打ち付けられてて店内が見えないのもあったけど、雑誌とかケースの陳列品がそのまま残されている様子がガラス越しに見える店もあった。
地震で崩れたらしい瓦屋根が修理できずに、ブルーシートをかけられた家もいくつもある。

店の駐車場や道路沿いの空き地には、除染で出た土を詰めたフレコンパックが並べられている。
区域内の公共施設やパチンコ店の駐車場とかは、警備にあたる警官の駐屯地になってるようで、パトカーが止まっていたり、警察の人が休憩してるようだった。

道の途中、福島第一原発へと続く曲がり道もあった(もちろん一般人は入れない)。
その森の向こうに、背の高いクレーンが何台か見えて、多分あそこが「現場」なんだろう。

区域内で観光バス数台とすれ違ったが、これは観光じゃなくて原発の作業員を送迎しているバスのようだ。フロントガラスの看板には「JV 5 → 1F 6」と書かれていたし。

相馬あたりを走っているときはイトコとギャアギャア騒いでいたが、区域に入ってからはなんとなくお互い無口になった。
沿道の家のひとつが、もし自分の家だったらと思うと、本当にやりきれない気持ちになる。自分の家でなくても、イトコの家や、よく行く店なんかがあったらと考えると……。
ゴーストタウン……とは違うと思う。人のいた痕跡がまだ濃いし、何とかしたいが今のところどうにもならない、もどかしさみたいなものが漂ってるから。

原発にほど近い富岡町には、道路にかかる歩道橋に「富岡は負けん!」という手書きの横断幕がかかっていた。

帰還困難区域を抜けて

国道6号は、広野町あたりから海に近い場所を走る。
その途中に何カ所か、海まで続くやたらに開けた土地があった。ぱっと見は畑っぽく見えるが、作物が植えてある様子はない。そんな広い場所に家は1,2軒しかない。
ここは多分、元は畑じゃない。震災の前は、きっとここには家がもっとたくさんあったんだと思う。

道路の途中で「東日本大震災 津波浸水区域ここから」という道路標識が何本か立っていた。
海がすぐ近くに見えて、これはどうしようもないと思う場所もあれば、山の影になっていて海なんかまったく見えない、まさかと思うようなところにも標識はあった。

帰還困難区域を抜けてそれほど走らないうちに、道沿いには新しい家やアパートが建っていて、公園からは子供が騒ぐ声が聞こえた。
コンビニや食堂もやっている、家には洗濯物が干してあって、通りを歩く人もいる。道の駅には県外ナンバーの車もけっこうある。

いわき市内でイベント指定のミッションをこなしたあと、MissionDayのいわき本部へ。
近くには水族館「アクアマリンふくしま」がある。今回は行かなかったけど、以前に行ったことがある。おすすめ水族館。なんと中に寿司屋がある!

いわきの現地エージェント 7達はみんな笑顔で楽しそうだった。「山梨から来た」って言ったら驚かれた(笑)
「ら・ら・ミュウ」でしこたま海産物を買って、自宅へ発送。

珈琲の森」で遅めの昼ご飯を食べた。以前に一度来た店で、とても気に入ったので再訪。

Googleのストビューで見ると潰れてんじゃないの?ってカンジの外観だけど、実際は地元では人気の店でいつも賑わっている。内装もおしゃれ。

その後、磐越道から東北道を通って福島市へ帰宅。
MissonDayと国道6号ツアー終了。

フクシマじゃなくて福島

いまだに事実に基づかないデマをばらまく人、福島にゆがんだ印象を持ったまま忌避してる人は多い。そして「漠然と」「なんとなく」避けてる人……これも意外と多いように思う。
そういう人は、あの震災直後の事故のインパクトを引きずったまま、知識のアップデートがされてないのだと思う。

事故の直後は、ホントもう福島に住めなくなるのかと思った。イトコにも、いつでもウチに避難してきていいぞ、ってなことを言った。

でもそのあと、住めなくなってしまった地域はあるけれど、福島の大部分は問題ないことがわかった。
イトコも、今も福島で普通に楽しく暮らしている。
私も毎年1,2回は遊びに行っている。 8

事故直後は確かにわからないことばかりだった。でも今はデータもそろい、全てではないがコントロールできることもかなり増えた。廃炉作業だって、少しずつではあるけれど進んでいる。

ままならないこともあるけど、良くなったこともある。
それを知って欲しい。今の福島を知って欲しい。
そしてできたら、実際に福島を訪ねて欲しい。

Fear comes from the unknown and lack of control,
2 things I minimize in my life.

恐怖は知りえないことと、コントロールが効かないことから来る。
人生において、その2つを出来るだけ最小限にするよう心がけている。

クリス・ハドフィールド / 第35次ISS滞在クルー
ホンモノが降臨「宇宙飛行士だけど、何か質問ある? 」 : らばQ

↓行ったことある場所がいっぱい出てきて嬉しくなった動画ヽ(´∀`*)ノ

最後にオススメの本を3つ

原発事故による放射線被害の問題に取り組み続けている、物理の教授と糸井重里氏の対話本。事故直後にこの教授をツイッターでフォローできたことは、私にとって最大の幸運だった。

単にカッコいい物理学者のオジサマの話として読んでもいいと思うw
あとこっち↓のページにメイキングみたいなものが。

ド文系でも読める放射線基礎講座。元素周期表がおぼろげに頭に残ってる程度の知識で十分理解できる。放射線わからん、なんとなく怖い、いまさら聞けない……で止まってる人に。

放射線やら原発について考えるなら、この本の内容は最低限の知識となる。 逆にこの程度の知識がないなら、何も語るべきじゃない。

東電福島第一原発の作業員が描いたマンガ。威圧感のある表紙からは想像つかないほどユルく描かれた作業員の日常マンガ。気軽に楽しく読めるけど、とても「真面目」に描かれている。

Notes:

  1. スマホを通じて現実世界で陣取りをするゲーム
  2. 車両のみ。バイクや徒歩はダメ。
  3. Ingressで、ゲーム内で使うアイテムを集める作業。
  4. 放射線の影響を考慮してというより、どっちかって言うと防犯とか頭の悪いやつ対策な気がする。
  5. Jヴィレッジ。原発事故対応の拠点になっている。
  6. 東京電力福島第一原発。世間ではフクイチ・F1(エフイチ)って略称を聞くけど、現場の人は1F(いちえふ)と呼ぶそうだ。
  7. Ingressプレイヤーのこと
  8. 3歳ぐらいの時から毎年。2011年の秋にも行った。